結節性硬化症 結節性硬化症の原因
結節性硬化症の原因は遺伝子にあることが分かっています。遺伝子は細胞の核の中の染色体にあり、人間の染色体の数は細胞1個あたり23対(46本)です。「対」と表現するのは、染色体は両親から1本ずつ受け継いでペアになるためです。なお、染色体には性染色体1対を除いて1から22番まで番号がついた常染色体があります。
結節性硬化症を起こす遺伝子はTSC1遺伝子とTSC2遺伝子の2つで、TSC1遺伝子は9番染色体、TSC2遺伝子は16番染色体にあることがわかっています。そして、TSC1遺伝子はハマルチン、TSC2遺伝子はチュベリンと呼ばれるタンパク質を作り、この2つのタンパク質が一緒に働いて、mTORの機能を抑えることで体の中に良性の腫瘍ができるのを防いでいます。
結節性硬化症の患者さんでは、TSC1遺伝子とTSC2遺伝子のどちらか、もしくは両方に変異をきたした結果、皮膚をはじめ、脳、腎臓、肝臓、肺、消化管、骨などの全身に良性の腫瘍ができたり、てんかんや知的発達の遅れなどの症状が現れたりすると考えられています。
mTOR(エムトール)とは?
細胞の分裂や増殖を活発にする働きがあります。そのため、mTORが強く働きすぎると、全身に腫瘍ができたり、てんかんや自閉症、知的発達の遅れなどが引き起こされたりすると考えられています。
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻 神経皮膚症候群の治療法の開発と病態解析学 寄附講座 教授 金田眞理先生 監修