神経発達症の子どもの睡眠障害
神経発達症(発達障害)※と睡眠障害
睡眠をしっかりとることは、子どもの心と体の健やかな成長には欠かせません。しかし、神経発達症(発達障害)の子どもでは、「布団に入ってから眠りにつくのに時間がかかる(入眠困難)」、「寝ている途中に何度も目が覚める」、「睡眠時間が短くなる」、「日中に眠気を訴える」、「朝、決まった時間に起きることができない」などの睡眠障害を持つことが多いと知られています。定型発達児の睡眠障害が25~40%であるのに対し、神経発達症(発達障害)のうち自閉スペクトラム症児では40~80%、注意欠如・多動症児では25~50%が睡眠障害を合併するとの報告があります。
神経発達症(発達障害)の子どもの睡眠障害は、感覚過敏や過集中といった神経発達症(発達障害)の特性や、睡眠と覚醒を調整する体内時計の問題、心理的な問題など、さまざまな原因から起こると考えられています。
- Cohen S et al. J Neurodev Disord. 2014;6(1):44
Singh K et al. Semin Pediatr Neurol.2015;22:113-125
神経発達症児に睡眠障害が存在すると「常同(じょうどう)行動(同じ動きを繰り返す行動)」、「不安」、「注意力低下」、「攻撃性」など神経発達症(発達障害)の症状が強く出て、昼間の問題行動が増えることがあります。また、これらの問題行動により、さらに睡眠障害が悪化するという悪循環につながることも考えられます。
- (※)神経発達症は、「発達障害」とも言われ、脳の機能的な問題が関係して生じる特性であり、日常生活、社会生活、学業、職業上における機能障害が発達期にみられる状態を指します。
久留米大学 学長:
内村直尚先生 監修
- 神経発達症の子どもの睡眠障害