ウィルソン病 体に銅が貯まる原因

どうして体に銅が貯まるのですか
Cu(銅)は体内に微量しか蓄積されていませんが、生体にとって必要不可欠な金属であり必須微量元素と呼ばれています。毎日の食事から少しずつ体内に取り込まれています。小腸から体内に取り込まれたCu(銅)は、肝臓でセルロプラスミン(Cp)という蛋白質と結合し、血液中に流れます。しかし、身体の色々な臓器に銅を供給することはしません。鉄の酸化作用を担います。
血中の銅の95%はセルロプラスミン結合銅です。実際に、銅を全身の臓器に供給する役割は、アルファミンやヒスチジンなどであり、血中の約5%を占めます。その一部は尿から体外に排泄されます。利用されたCu(銅)や過剰のCu(銅)は、肝臓から胆汁を経て便として体外に排泄されています。過剰に摂取すると急性や慢性の銅中毒になります。
ウィルソン病は慢性銅中毒によく似ています。ふつうの人(ウィルソン病でない人)の食事中の銅は、十二指腸や小腸上部で吸収され、肝に運ばれます。肝にて、銅は、セルロプラスミンという銅結合蛋白質となり、血液中に流れて行きます。また、脳や骨髄(造血器)など全身の諸臓器に必要量が分布し、過剰な銅は肝から胆汁中に排泄され平衡を保っているのです。

ウィルソン病は、肝にて
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1
胆汁中へ銅が排泄されない
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2
銅がセルロプラスミンと結合しない
という欠陥があります。
そのために、肝に銅が貯まり、さらに血液中のセルロプラスミンが低値になります。
東邦大学医療センター大橋病院小児科
教授 清水教一先生 監修