低亜鉛血症 低亜鉛血症の治療

低亜鉛血症を治療するには、最初に食事療法を行います。それで不十分な場合は、亜鉛補充療法(飲み薬で亜鉛を補充する治療)を行います。
食事療法
- 血清亜鉛値が低下していることが分かったら、亜鉛を多く含む食べ物を積極的に摂ることを心がけます。
- 亜鉛を多く含む食品には、次のようなものがあります。

- 食事療法の際、一緒に食べると亜鉛の吸収を促進するものと、亜鉛の吸収を妨げるものがあります。
- 吸収を促進するもの…肉類、魚類に多く含まれる動物性たんぱく質(グルタミン等のアミノ酸)、ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸等を含む酸性の食べ物
- 吸収を妨げるもの……コーヒー、オレンジジュース、カルシウム、未精製の穀類や豆類に多く含まれる「フィチン酸」
- 推奨される1日の亜鉛の摂取量は、成人男性10mg、成人女性8mg(妊婦は+2mg、授乳婦は+3mg)です。
- 一度、低亜鉛血症になると、食事療法だけでは、血清亜鉛値は改善しにくいといわれています。
亜鉛補充療法
血清亜鉛値が低く、食事療法だけでは不十分と医師が判断した場合は、亜鉛製剤(飲み薬)で亜鉛を補充する治療を行います。血清亜鉛値が原則、80ug/dL未満(低亜鉛血症とは)で、何等かの症状が出ている場合、あるいは症状が出てくる可能性がある場合が亜鉛補充療法の対象となります。なお、薬の服用量は血清亜鉛値や症状の有無、症状の程度により調節され、定期的に血清亜鉛値を測定し、効果や副作用をチェックしながら治療を進めます。
- 薬の量は、血清亜鉛値や症状によって調節されます。定期的に検査をして、治療の効果や副作用をチェックしながら治療を進めます。
- 亜鉛製剤服用時の副作用には次のようなものがあります。
- ・吐き気
- ・腹痛
- ・銅の欠乏による貧血
- ・鉄の欠乏による貧血 等
亜鉛製剤の服用により、気になる症状が生じた場合は、医師・薬剤師に相談してください。

帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 学科長・教授
児玉浩子先生 監修