第Ⅰ相試験から取り組んだ、
小児用医薬品 Interviewee 
副社長執行役員 研究開発本部長 島崎 茂樹

小児用医薬品としての承認、
高いハードルを越えて

メラトベル®は小児期の神経発達症に伴う入眠困難を改善する医薬品として、2020年3月に製造販売承認を取得しました。
神経発達症のお子さんの多くは、睡眠障害を伴っています。就寝が不規則になるために朝起きられず、学校に行けなくなるお子さんが多数います。そういう学童期の患者さんの日常生活のリズムを保って、QOLを改善したいという想いから、開発に着手しました。
メラトニンは脳内で生成されるホルモンの1つで、ジェットラグ(時差ぼけ)を改善するサプリメントとして、アメリカではドラッグストアで処方箋なしで購入できます。しかし、日本ではメラトニン製剤は承認されておらず、販売もされていません。
このような状況のもと、初めから小児用医薬品、それも新薬としての製造販売承認の取得は、さらに難易度が上がります。小児用医薬品は成人向け医薬品に比べて様々な制約があり、申請できるレベルに達する臨床試験を行うのが非常に難しいことから、開発しようとする製薬会社はほとんど皆無でした。

試行錯誤を繰り返し、
困難な臨床試験を
あきらめずに実施

メラトベル®の開発では、当社として初めて第Ⅰ相~第Ⅲ相試験から長期投与試験までを行いました。そういう意味で、当社にとっては新しい時代に向けて、新たなチャレンジとなった新薬開発の事例です。
専門の先生方からもニーズの高い製品ですが、臨床試験は困難を極めました。自閉スペクトラム症の小児ですと、環境の変化や新しいことへの取組みが苦手という特性があって、治験の検査などを受けてもらえないことがあるからです。また、従来の睡眠薬のイメージもあり、この未承認薬の治験に協力していただける患者さんやご家族が少なく、必要な被験者数になかなか達しませんでした。そのため、臨床試験の期間が当初の予定より1年延びました。
試行錯誤を繰り返した結果、メラトニンの分泌が不十分で眠れない、あるいは別の理由で眠れないお子さんが就寝前に服用すると、しっかり眠れるというデータが取れました。ところが、次の難関が待っていました。
メラトニンは体内リズムを整えるホルモンで、単に不眠に効果があるだけでなく「日内リズムを整える」ことが期待され、従来の睡眠薬と明らかに異なります。一方で、行政は、作用としては睡眠薬に近いということで、審査の過程では成人での類薬承認前例に倣うように求められました。その一つが効能・効果でしたが、当社の主張が一部認められ、国内では初の「不眠症」という分類名を効能・効果に含まない睡眠関連治療薬となりました。

新しい概念で、新薬開発の
可能性を広げる

困難続きのメラトベル®の製造販売承認取得でしたが、この開発から発売までの経験で新たな可能性を感じています。
患者さんのニーズがあり、効果も認められ、十分な治験データも集まっているのに、薬害に対しての過敏な慎重論や前例主義から、新しい概念からつくられた医薬品が認められにくい傾向は根強く残っています。製薬会社に何より求められているのは安全性の確保ですから、慎重になるのは当然です。しかし、こうした傾向があるために、治療を必要とする患者さんがいるのに様々な理由から、手つかずのままにされている医薬品の空白地帯がそこかしこにあるのも事実です。
新薬の開発も新しい時代に突入しました。患者さんたちのネットワークも拡大し、全世界に存在する新薬候補物質や研究成果のリサーチも大きく変わってきています。当社は、患者さんのニーズと利益を優先して、医薬品の空白地帯で、新しい概念で医薬品・医療機器の可能性を広げていきます。

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