試行錯誤を繰り返し、
困難な臨床試験を
あきらめずに実施
メラトベル®の開発では、当社として初めて第Ⅰ相~第Ⅲ相試験から長期投与試験までを行いました。そういう意味で、当社にとっては新しい時代に向けて、新たなチャレンジとなった新薬開発の事例です。
専門の先生方からもニーズの高い製品ですが、臨床試験は困難を極めました。自閉スペクトラム症の小児ですと、環境の変化や新しいことへの取組みが苦手という特性があって、治験の検査などを受けてもらえないことがあるからです。また、従来の睡眠薬のイメージもあり、この未承認薬の治験に協力していただける患者さんやご家族が少なく、必要な被験者数になかなか達しませんでした。そのため、臨床試験の期間が当初の予定より1年延びました。
試行錯誤を繰り返した結果、メラトニンの分泌が不十分で眠れない、あるいは別の理由で眠れないお子さんが就寝前に服用すると、しっかり眠れるというデータが取れました。ところが、次の難関が待っていました。
メラトニンは体内リズムを整えるホルモンで、単に不眠に効果があるだけでなく「日内リズムを整える」ことが期待され、従来の睡眠薬と明らかに異なります。一方で、行政は、作用としては睡眠薬に近いということで、審査の過程では成人での類薬承認前例に倣うように求められました。その一つが効能・効果でしたが、当社の主張が一部認められ、国内では初の「不眠症」という分類名を効能・効果に含まない睡眠関連治療薬となりました。