縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー) 疾患概要

遠位型ミオパチーの主な病型

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)を含む遠位型ミオパチーは国の指定難病に指定されている希少疾患であり、三好型、眼咽頭遠位型等のいくつかの病型があります。

遠位型ミオパチーの主な病型

難病情報センターHP[遠位型ミオパチー(指定難病30). 病気の解説]、
厚⽣労働省 難治性疾患政策研究事業 希少難治性筋疾患に関する調査研究班GNEミオパチー診療の手引き
(日本神経学会理事会承認日 2020年1月31日)より作成

世界的には少なくとも9つの異なる疾患が含まれるとされていますが、現在本邦では上記の3疾患が確認されています。

病因・病態

シアル酸生合成経路

シアル酸生合成経路

 

  • GNE 遺伝子は、シアル酸(Sialic acid)生合成経路の律速酵素であるUDP-GlcNAc 2-epimerase /ManNAc kinaseをコードしており、 GNEミオパチー患者ではその酵素活性が低下します。
  • シアル酸生合成の低下が筋変性を生じる機序としては、細胞膜上の糖タンパク質、糖脂質のシアリル化が低下することにより酸化ストレスが生じ、タンパク質折りたたみ異常、ユビキチン プロテアソーム系の活性化などが起こることが想定されています。

シアル酸とは?

シアル酸とは、ノイラミン酸の修飾体(アミノ基など置換含む)の総称で、そのうちアセチル修飾されたシアル酸はN-アセチルノイラミン酸 (NeuAc)と呼ばれヒトを含む様々な生物種に存在しています。

シアル酸の機能は未解明の部分も多くありますが、筋収縮によって出現する reactive oxygen species (ROS)を除去する働きや、細胞膜の最外部にあることから細胞間相互作用等の様々な生物学的現象に関与していると考えられています。

細胞膜上に存在する糖脂質や糖タンパク質は糖鎖で修飾されており、糖鎖の一部として細胞に取り込まれます。シアル酸は細胞膜表面に存在する糖脂質や糖タンパク質の一部であり、その最末端に位置していることから、細胞を外から見るとシアル酸で覆われているように見えます。

シアル酸

遺伝について

  • 遠位型ミオパチーは全て遺伝性疾患です。GNE ミオパチーは、第9染色体にあるGNE 遺伝子の変異が原因であり1)、常染色体潜性(劣性)遺伝形式を取ります。つまり、父親由来と母親由来のGNE 遺伝子の両方に変異があると発症します。
  • 健常者は、平均で7~10個の重篤な常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患の無症候性保因者であること、すなわち、健常人は誰でも常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患の無症候性保因者だということがわかっています。

1)Noguchi S, et, al. J Biol Chem. 2004 Mar;279(12):11402-7.

例①:患者さんが子を産む場合遺伝

  • パートナーが健常人である場合
    生まれてくる子は無症候性保因者になります。GNEミオパチーの無症候性保因者は一生発症しません。
  • パートナーが無症候性保因者である場合
    50%の子どもで発症し、残りの50%は無症候性保因者となります
例②:患者さんの兄弟姉妹が子を産む場合遺伝

  • 患者さんの兄弟姉妹は、両親由来の両方の遺伝子に変異を持つか、変異遺伝子を全く持たないか、片方の遺伝子のみに変異のある無症候性保因者のいずれかです。
  • 変異遺伝子を全く持たない場合は、生まれてくる子供が発症する可能性はありません。無症候性保因者である場合は、パートナーのもつ遺伝子によって異なります。
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)

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病理からみたGNEミオパチー

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