血管腫・脈管奇形 脈管奇形について
脈管奇形にはどんな疾患があるの?
脈管異常は大きく分けると血管腫と脈管奇形に分類されます。
ここでは、脈管奇形について紹介します。
脈管奇形には血管奇形(静脈奇形、動静脈奇形、毛細血管奇形)、リンパ管奇形、これらの複数のタイプが混在した混合型脈管奇形があります。

1.静脈奇形
静脈奇形
静脈奇形は、胎生期において静脈を形成する過程で異常が起こることにより、静脈が海綿状又は嚢胞状に拡張し、血液が溜まってしまう病気です。静脈奇形には複数のタイプの病気があり、単発/多発性かどうか※1、病変が皮膚表面の浅いところにある(表在性)か深いところにあるか(深在性)などにより分類されています。
※1 多発性:同じ時期に、2箇所以上の部位に病変が認められること。
どこに症状が現れやすい?
大きさや分布は様々で、顔面・胴体・四肢と、全身のどこにでも発生します。頭頸部に最も多く、皮膚・軟部組織※2のみならず骨や腹部臓器に現れることもあります。病変が体の表面近くの場合は皮膚が青紫色に見えます。逆に深在性のものは皮膚の色調には変化がありません。
※2 軟部組織:骨以外の身体を支える組織。筋肉や腱、靭帯、脂肪、血管など
どんな症状が起こる?
病変の腫脹、痛み、色調の変化、変形などの症状が挙げられます。表在性のものは出血を生じることもあります。足に生じた場合には、左右の足の長さの違いが生じたり、関節が動かしづらくなったりすることもあります。
一般的には、病変は生まれつき存在し、成長すると共に少しずつ大きくなって、症状が進行するといわれています。小児期以降に症状があらわれることも多く、成人してから見つかることも珍しくありません。
また怪我や骨折のほか、月経や妊娠といったホルモンの変化をきっかけに症状が悪化することもあります。

1)平成25年度 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業
「難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班 患者実態調査および治療法の研究」研究代表者 三村秀文
血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版)より作成
主な治療法は?
硬化療法、薬物療法(分子標的治療薬)、圧迫療法、摘出術(外科的治療)などの選択肢があります。それぞれ一長一短があり、患者さんの状態に応じて治療が選択されます。治療の適応や時期については、痛みや腫れ、色や形状の変化といった主症状が日常生活に明らかな影響を及ぼす場合に、適切な治療を組み合わせて行われます。
どうして痛みが起こるのですか?
静脈奇形は血液の流れがゆっくりなので、血液が滞りやすくなっています。そのために局所的に血栓(血の塊)が出来てしまうことや、病変内で内出血や細菌感染が生じることで痛み(炎症性疼痛)が生じます。それを繰り返すと、血栓が固くなり静脈石になるなどにより、慢性的な疼痛となることもあります。
日常生活で痛みが出てきたときは、どう対応すればよい?
痛みの原因にもよりますが、 RICE( Rest(安静)Icing(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上))を推奨するという考えがあります。
一般的に、RICEを行うことで、内出血や腫れ、痛みを抑え、回復を助ける効果があるといわれています。また、医師の処方した鎮痛薬を服用することで痛みや和らぐことがあります。
改善しない場合や熱を伴う場合は、感染(蜂窩織炎※3)や血栓性静脈炎※4などの場合がありますので、担当の医師に相談しましょう。
※3 蜂窩織炎(ほうかしきえん):皮膚の奥の方(皮下組織)に細菌が入り込んで起こる感染症で、痛みや熱感等の症状がある
※4 血栓性静脈炎:血液中にできた血栓が原因で、静脈やその周囲の組織や皮膚に炎症が起こる状態
血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版)より作成
青色ゴムまり様母斑症候群
静脈奇形の一種で、全身の皮膚や皮膚の下、消化管を中心とした臓器に生じる病気です。皮膚病変がゴム乳首に似ており、青色がかっているため、 青色ゴムまり様母斑症候群と命名されました。
どこに症状が現れやすい?
全身の皮膚以外に、消化管をはじめとする多臓器に病変が認めらます。
どんな症状が起こる?
0.1~5cm程度の青色~黒色のゴム乳首様と例えられるような皮膚の静脈奇形が多発してみられます。小児期には皮膚病変が顕著でなく、多くは成長とともに病変が目立つようになります。静脈奇形内に静脈石を形成したり血栓性静脈炎を併発したりすると疼痛が出現します。
皮膚のみでなく、中枢神経、肝臓、脾臓、腎臓、肺、心臓、甲状腺、筋肉などにも病変を伴います。臨床的に最も重要なのは、消化管に多発する静脈奇形により、様々な程度の消化管出血と鉄欠乏性貧血を生じることです。消化管病変が先行し、原因不明の消化管出血とされる症例も存在します。
また、合併症として、大量消化管出血や腸重積症※5などが報告されています。中枢神経病変により痙攣や麻痺などが生じることもあります。
※5 腸重積症:腸の一部が隣り合う肛門側の腸に入り込んで閉塞することで、内容物の通過や血液の流れが悪くなる病気
治療法は?
分子標的治療薬による治療が保険適応になっています。
対症療法としては以下の治療があります。
- 鉄欠乏性貧血⇒鉄剤の投与
- 出血⇒止血剤(大量出血の場合は輸血)
- 消化管病変⇒内視鏡的硬化術やレーザー凝固術、外科切除など
- 血栓や静脈石による疼痛⇒弾性ストッキングなどを用いた圧迫療法
参考:小児慢性特定疾病情報センター「青色ゴムまり様母斑症候群」(2025年10月現在)
(https://www.shouman.jp/disease/details/16_01_001/)
2.動静脈奇形
動静脈奇形は、胎児期に血管が作られる過程で、動脈と静脈の間に異常なつながりができてしまう病気です。
通常は、「動脈→ 毛細血管 → 静脈 」と血液が流れますが、動静脈奇形では毛細血管を介さずに「血管のかたまり」(ナイダスといいます)で直接つながっており、これが動静脈奇形の本体です。動脈を流れる血液が静脈側にすり抜ける短絡(シャント)という現象が起こり、そのため皮膚の発赤や痛みなどがおこります。

発症は、生まれてから20 歳未満の場合が多いです。動静脈奇形には複数の疾患が含まれており、遺伝しない病気が多いですが、遺伝性出血性末梢血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia, HHT) (オスラー病)など、遺伝性を有する動静脈奇形が一部知られています。
どこに症状が現れやすい?
全身のあらゆる部位(皮膚、軟部組織、骨、脳脊髄、内臓など)に発生し、病変の大きさも様々です。
症状はどのように変化しますか?
臨床症状は進行性に変化することが知られており、下図の「 Schöbinger(ショービンガー)臨床病期分類」で定義されています。また、心不全や致死的出血など生命の危険に晒されることもあります。
動静脈奇形のSchöbinger 臨床病期分類

※必ずしもこの通りの経過をたどるというわけではありません
難治性血管腫・血管奇形 薬物療法研究班 情報サイト(2025年10月現在) より改変作図
治療法は?
動脈と静脈のつながり方によっていくつかの分類がなされており、そのタイプにより適した治療法が異なります。外科的切除、塞栓術・硬化療法、薬物療法、圧迫療法などがあります。
3.毛細血管奇形
生まれた時から存在する、皮膚表面の平坦な赤いあざのことをいい、単純性血管腫やポートワイン母斑(血管腫)などと言われることもあります。皮膚表面の表皮から真皮までに大きくなった毛細血管を認め、腫瘍のような膨らみが無いのが特徴です。
発生頻度は1,000 出生に3 程度といわれています。
静脈奇形やリンパ管奇形など他のタイプの脈管奇形と合併することもあります。(混合型脈管奇形)
どこに症状が現れやすい?
単純性の毛細血管奇形は、一般的には顔、首、頭皮、腕にできるといわれていますが、全身の皮膚に起こる可能性があります。

どんな症状が起こる?
通常の毛細血管奇形のみであれば痛みなどの症状はありません。ただし、一生を通じて患者の体の成長に比例して拡大し、色が濃くなり、肥大・隆起することが知られています。そのため、顔面に起こった毛細血管奇形は、病変直下の軟部組織や骨の過成長を起こすことで、顔の形や口唇、顎の突出、噛み合わせの異常などを起こすことがあります。
また皮下に他の血管奇形を合併している場合も、その症状が悪化することがあります。
治療法は?
パルス色素レーザーが第一選択とされており、早期から開始したほうが効果が高いといわれています。
レーザーで色調の改善が認められない場合などに、外科治療(切除・再建)を行う方もいらっしゃいます。
毛細血管奇形の中でも、サーモンパッチ※やウンナ母斑※※と呼ばれるタイプの場合は、経過観察となるケースも多くあります。

参考:難治性血管腫・血管奇形 薬物療法研究班 情報サイト(2025年10月現在)
4.リンパ管の奇形
リンパ管の奇形とは?
リンパ管の奇形(発生異常)は、リンパ管の中を流れるリンパ液に問題があるわけではなく、リンパ液が流れているリンパ管の異常です。体の一部でリンパ管が大きく広がって袋状になったり、リンパ液を一方向に流す上で必要な弁が形成されていなかったり、もしくはうまく働かなかったりといった異常がある疾患です。
参考:リンパ管疾患情報ステーション リンパ管疾患とは? 2025年10月参照

リンパ管の奇形は現在リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症、原発性(先天性)リンパ浮腫などに分類されます。リンパ管腫(リンパ管奇形)を中心としてそれぞれよく似た病変であることから、一部の患者さんはどちらとも言い切れず、はっきりと病名をつけられないことがあります。しかし、近年の研究により、徐々にその境界がはっきりして区別できるようになってきています。世界中の医療チームが、疾患の解明、治療法の開発に取り組んでいます。
この病気の予後は?重症な患者さんが多いの?
厚生労働省の研究班での調査では、初診時に重症の患者さんは10%ほど、重症ではなくても治りにくい方は約20%と、一部の患者さんは非常に治り難いことが判明しています。ただ大半の方は予後が良いことも分かっています。

慶應義塾大学 医学部 外科学教室 小児外科
藤野明浩先生 ご提供
56%が初診時軽症、難治性の割合は23%との報告があります。
必ず治療する必要があるの?
リンパ管腫は悪性疾患ではなく、必ずしも治療しなければならないわけではありませんが、見た目(整容性)の問題や、呼吸がしにくい、消化や便通が悪いといった機能的な問題、また痛みや腫れなどの症状の問題、これらの一つでも困っている場合には、治療を選択する理由になると考えられます。

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リンパ管腫(リンパ管奇形)
リンパ管腫(リンパ管奇形)は、リンパ管の奇形のうち、局所的にぶどうの房のように大小のリンパの袋(嚢胞)が寄り集まってコブ状のかたまりとなる疾患です。先天性で、多くは小児(出生時の発症が約50%、2歳までの発症が約90%1))に発症します。嚢胞の大きさにより大嚢胞性、小嚢胞性、混合型に分けられます。

疾患の原因と遺伝について2)
近年、PIK3CAという遺伝子の変異が、多くの患者さんの病変内にあることが分かり、発症と関係があるのではないかと考えられています。患者さんの数に男女差はなく、遺伝もしません。
また、推定患者数は10,000人程度と言われています。
どこに症状が現れやすい? 1)
嚢胞の発生場所は約75%が頸部 ※1や腋窩 ※2ですが、全身どこにでも発生する可能性があります。嚢胞が大きい嚢胞状は特に首やわきに多くみられます。首に発生した場合、3~10%の確率で縦隔 ※3にも発生します。嚢胞が小さい海綿状は、舌、口腔内、筋肉内などの 皮下組織 に多く表れます。腫瘍ではないのでどんどん大きくなったり、体の違う場所にも新たに現れたりすることはなく、ひとつのつながった病変になっています。ただ自然に退縮する(小さくなる)ことは少ないといわれています。
※1 頸部 …首
※2 腋窩…わきの下のくぼみ
※3 縦隔…左右の肺に挟まれた胸の中心部分。心臓、気道、食道などの重要な臓器が含まれる
どんな症状が起こる?1)2)
通常痛みは生じず、症状が目立たない場合も多いですが、嚢胞の場所や大きさによっては、見た目上問題になったり、体を動かす上で邪魔になったりします。
発生部位により様々な症状が現れます。
- あごや首の深いところ:気道を圧迫して呼吸困難になったり、のどが押されて飲み込むことが困難になる
- 縦隔:気管の狭窄による呼吸困難の症状を呈し、気管切開を要する場合もあります。
- お腹の中:腹痛や発熱、嘔吐、排便困難など
- 腋窩や腹腔内、四肢など:様々な運動・機能障害
- 皮膚や粘膜(限局性リンパ管腫):カエルの卵のような湿疹が見られ、リンパ漏※4 ・出血・感染を繰り返す
※4 リンパ漏…リンパ液が漏れること
治療法は?
治療においては、緊急性がなければ、まず自然に嚢胞が小さくならないか経過観察した後、硬化療法、外科的切除、内科的治療(薬物療法:分子標的治療薬等)などを、病変や患者さんの状態にあわせて選択します。
● 硬化療法
硬化療法は、嚢胞の中に薬剤を注入してつぶしていく治療法です。嚢胞が大きいタイプ(嚢胞状、マクロシスティック)に効果的ですが、嚢胞が小さいタイプ(海綿状、マイクロシスティック)には効きにくいことが分かっています2)。
● 外科手術
手術で病変を完全に取りきることができれば、短期間で完治します。しかしリンパ管とともに、病変も複雑な形に広がっていることが多く、完全に取り除くことは難しいことが珍しくありません。海綿状の病変が多く硬化療法がなかなか効きにくい場合、左右のバランスや突出を改善するために部分的な切除を選択することは好ましいと考えられます。
● 薬物療法
近年、分子標的治療薬などの研究が発展し、治療の選択肢に加わっています。
1)リンパ管疾患情報ステーション(http://www.lymphangioma.net/) 2025年10月現在
2)血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版)
リンパ管腫症/ゴーハム病
リンパ管腫症

リンパ管腫症は病変が一か所に留まらず、全身の臓器など、様々な箇所に出現する点がリンパ管腫と異なります。
リンパ管の一部が異常に拡張し、そこからリンパ液が漏れ出て体内に溜まり、様々な問題を引き起こします。
カポジ型リンパ管腫症について
リンパ管腫症の中に、非常に進行が速く重篤となる症例が認められており、カポジ型リンパ管腫症と呼ばれる疾患があります。血小板の急速な減少や血液の凝固異常など、検査結果が特徴的ですが、採取した組織に特徴的な像があって診断されます。
ゴーハム病

リンパ管腫症との明確な区別が難しい疾患の1つにゴーハム病があります。
ゴーハム病の最大の特徴は病変部の骨が表面から溶けてしまうことで、骨の溶解は骨全体に広がり、次第にその隣の骨も同じように溶けて広がっていきます。また溶けていく骨の周囲には異常なリンパ管、もしくは血管の組織があることが知られています。
何歳ごろでの発症が多い?1)
平成23年に行われた全国調査では、リンパ管腫症は小児、若年者に多く発症し(20歳までの発症が約80%)、ゴーハム病は全年齢から発症していましたが、性差はありませんでした。国内では合わせて約100人の患者さんがいらっしゃると推定されます。
どんな症状が起こる?2)
病変部位によって様々な症状が起こります。リンパ管腫症又はゴーハム病の患者さん85例における、病変部位とその症状について、以下のデータがあります。
リンパ管腫症とゴーハム病を比較すると、リンパ管腫症は胸部病変(胸水、縦隔病変、心嚢水)、腹水、凝固異常の頻度が高く、ゴーハム病は骨病変(骨溶解、病的骨折)の頻度が高くなっています。

1)血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版)
2) Ozeki M, et al. Pediatr Blood Cancer. 2016 May;63(5):832-8. (PMID: 26806875.)
「中枢神経」「凝固異常」については岐阜大学小児科 小関道夫先生より情報提供
胸部に病変がある場合は積極的な治療が推奨されています。また、頭蓋骨や脊椎のゴーハム病では、髄液漏や髄膜炎、神経症状を認め、致死的となる可能性があるため、注意が必要です。
治療法は?
リンパ管腫症、ゴーハム病については、病変が多発性、びまん性※であるため、外科的切除は困難なことが多く、対症療法や薬物療法が主となります。
※びまん性:病変が特定の1か所のみでなく、広がりを持って現れる状態のこと
● 分子標的治療薬による治療(保険適応)
● 以下の対症療法
- 病的骨折⇒整形外科的手術(固定術、人工関節置換術など)
- 息切れ、咳など⇒気管支拡張薬、ステロイド、利尿剤
- 胸水、呼吸苦⇒胸腔穿刺※1 ・ドレナージ※2 、胸膜癒着術※3や硬化療法、胸管結紮術※4など
- 大量胸水・腹水、蛋白漏出性胃腸炎(低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症や低栄養を引き起こす)
⇒アルブミン製剤やガンマグロブリン製剤などの補充療法 - リンパ漏⇒リンパ管塞栓術
- 血栓や静脈石による疼痛⇒弾性ストッキングなどを用いた圧迫療法
※1 胸腔穿刺(きょうくうせんし):胸腔に針を刺して、胸水や空気を抜き取る処置
※2 ドレナージ:体内に貯留した血液、膿、滲出液、消化液、空気などの不要な物質を体外へ排出する医療行為
※3 胸膜癒着術(きょうまくゆちゃくじゅつ) :肺を覆う「臓側胸膜」と胸壁の内側を覆う「壁側胸膜」を意図的に癒着させる手術。これにより、胸水が溜まるスペースをなくし、胸水貯留や気胸の再発を防ぐことを目的とする。
※4 胸管結紮術(きょうかんけっさつじゅつ):胸部を通る主要なリンパ管である「胸管」を縛って結ぶことで、リンパ液が胸腔内に漏れるのを防ぐ手術
血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版)より作成
その他のリンパ管の奇形
その他に、以下のような疾患もあります。(このコンテンツでご紹介できていない疾患も複数あります。)
リンパ管拡張症
リンパ管拡張症は、体の一部のリンパ管が非常に拡張し、リンパ液が一方向に流れなくなって、管の外に漏れ出て胸水(乳び胸)や腹水(乳び腹水)を引き起こす疾患です。小児から若年成人に発症することが多く、肺や腸間膜などが、病変が生じるところとしてよく知られています。リンパ管腫症やゴーハム病との鑑別が難しいことがありますが、骨の病変はない点が異なります。
原発性(先天性)リンパ浮腫
最後に、原発性(先天性)リンパ浮腫は、リンパ管の形成が未熟で細かったり、発生していなかったりすることにより、リンパ液をちゃんと運搬できないため、主に手足の末梢で浮腫(むくみ)が起きる疾患です。原因には様々な遺伝子が関わっていることが分かっていますが、根本的な治療法は確立されていません。圧迫療法(弾性ストッキングなどの弾性着衣によって手足のむくんでいる部位を広く圧迫すること)を続けることは病気の症状の悪化に対して効果があると分かってきています。
5.混合型脈管奇形
脈管奇形には、ここまででご紹介したように、毛細血管奇形、静脈奇形、動静脈奇形、リンパ管の奇形がありますが、このうち2つ以上のタイプが合わせて起こっている疾患を混合型脈管奇形といいます。どのタイプか、又は場所によって症状は様々ですが、しばしば病変部分の手や足の皮膚などの軟部組織や骨の肥大を伴います(四肢過成長)。また通常の脈管奇形だけでなく、特殊な症状を合併するような稀な関連症候群もあります。
代表的な疾患は?

いずれも毛細血管奇形がありますが、静脈奇形(及びリンパ管奇形)を伴うか、動静脈奇形を伴うかで異なります。区別が難しい場合もあり、「クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」とまとめて小児慢性特定疾病/指定難病(281)に選定されています。
治療法は?
疾患や状態によって外科的治療、 色素レーザー、硬化療法、圧迫療法、薬物療法が選択されます。
四肢の過成長に対しては、下肢補高装具や外科的矯正手術や、病変切除などの減量手術などが行なわれることがあります。
普段の生活では、どんなことに気をつければ良いですか?
患者さんによって症状の程度は様々です。最初は症状がなくとも、進行すると痛みや皮膚の病変からの出血、感染などを起こすことがあります。そのような症状が出たら、病院で相談して、対処しましょう。また怪我や外的な刺激には注意して、包帯や弾性ストッキングなどで圧迫すると良いでしょう。肥大や左右差は、成長とともに年単位で出てくることがあります。定期的に左右の足の長さや太さを測定することも大切です。
監修
岐阜大学 医学部附属病院 小児科 臨床准教授 小関道夫先生
慶應義塾大学医学部 外科学 小児外科 教授 藤野明浩先生(リンパ管の奇形)