結節性硬化症 結節性硬化症の皮膚病変と
その治療

皮膚症状は結節性硬化症の患者さんに高い頻度で認められる、重要な症状の一つです。症状の種類はさまざまで、かつ現れる時期も異なります。例えば、白斑は出生時もしくは生後比較的早い時期に現れますが、その他の皮膚病変は成長・年齢に伴い現れやすくなります。

顔面の血管線維腫

顔の中央部にできる赤みを帯びたニキビのような腫瘍で、5歳以上の80%以上に現れます。通常は思春期ころから赤みや数が増えていきますが、個人差が大きく、早い患者さんの場合は2歳ころからでてくることがあります。初期には頬に赤いシミのようなものが出現し(イラストa)、その後、頬や下あごなどに赤みを帯びた数ミリ大の盛り上がったものが、顔の中央に左右対称的に現れます(イラストb)。これらは少しずつ数が増えていきます。

  • a
    初期にみられる赤いシミのようなもの
  • b
    赤みを帯びた数ミリ大の盛り上がったもの(顔の中央に左右対称的に現れる)

治療

日常生活に支障がでる場合は切除します。それぞれの腫瘍が小さい場合はレーザーアブレーション(レーザーでその部分を取り除くこと)を用い、赤みの強いものに対しては血管系レーザー(赤血球に反応するレーザー光線を用いて血管を選択的に破壊する)を用いて取り除くこともあります。小さな腫瘍で局所麻酔が難しい場合は、ピーリング(こすり取って、表皮細胞の新陳代謝を促す)や凍結凝固療法などが行われることがあります。
最近、顔面の血管線維腫に対してmTOR阻害薬の塗り薬が使用できるようになりました。

頭部の線維性局面

「局面」とは大きくて平らな、でこぼことした「皮膚の盛り上がり」をいいます。新生児期に現れることもありますが、ほとんどの場合、顔面の血管線維腫の症状が出た後に出現します。初めは、盛り上がりがなく、紅褐色や正常な皮膚色の模様として認められ、年齢とともに一部が「こぶ」のようなかたまりとなり、大きな「局面」をつくることもあります(イラストc)。
通常、頭には正常な皮膚色の固い「局面」がつくられることが多く、ひたいや下あごなどには紅色調の「局面」がつくられます。

  • c
    ひたいにできた「局面」

治療

症状によっては外科的に切除する場合があります。また、頭部の線維性局面に対してmTOR阻害薬の塗り薬を使って治療する場合があります。

白斑

白い「あざ」のことです。出生時に認められ、5歳以上では50%以上に出現します。ほぼ全身に現れ、髪の毛のところにできると白髪になる場合があります(イラストd)。楕円形の一方の端が細くとがった木の葉のような形をしているのが特徴といわれていますが、実際には紙吹雪や金平糖のような形の場合もあります(イラストe)。

  • d
    髪の毛のところにできた「白斑」により白髪を呈した状態
  • e
    木の葉状および、その周囲の紙吹雪/金平糖様の「白斑」

治療

特に治療をしないことがほとんどです。見た目の問題などで、患者さんが治療を希望する場合は、塗り薬を使って治療する場合があります。

爪線維腫

手や足の爪にできる硬い腫瘍をいいます(イラストf、g)。思春期以降に現れ、少しずつ大きくなり、しばしば出血を伴います。30歳以上では88%の患者さんに認められるという報告もあります。手よりも足の爪に高い頻度で出現し、初期には、爪の陥凹(線状のでこぼこ)としてのみ認められる場合もあります。

  • f
    手および足の爪周囲に現れた爪線維腫
  • g
    爪の陥凹

治療

出血しやすい場合や、腫瘍が大きくなり日常生活に支障をきたすような場合は切除します。ただし、切除しても再発することがほとんどです。

シャグリンパッチ

数mmから10cm以上の正常な皮膚色あるいは黄色~ピンク色の軽度の「皮膚の盛り上がり」をいいます(イラストh)。通常は思春期以降に出現し、5歳以上では50%の患者さんに認められます。背中、腰、お腹を中心に非対称に現れます。

  • h
    おしりの上部にできたシャグリンパッチ

治療

10cm以上の大きなものは、患者さんの希望に応じて数回に分けて切除します。塗り薬を使って治療する場合もあります。

大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻 神経皮膚症候群の治療法の開発と病態解析学 寄附講座 教授 金田眞理先生 監修

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